あ〜、昨夜は飲みすぎちまったなぁ。まだ酔っ払ってるぜ。と、思いつつも、会社にはち ゃんと行かないとねぇ〜って事で、着替えをしていた。あれ? スーツの上着がないぞ? まあ良いか、別のスーツを着て行こう。 さて、行くかと鞄を手にすると、何やら見慣れぬ物が入っている。なんだこれ?と手に取 ると、封が開けられ、半分食べ掛けのチーズかまぼこだった。なんでこんな物が鞄に入っ てるんだろうか? 前日は、久しぶりに気の置けない仲間4人で、美味しい日本酒をたくさん飲んでいた。か なり飲んだらしい。ほとんど記憶がない。会社に着くと、一緒に飲んでいた仲間が、「大 丈夫でしたかぁ?」と寄って来た。「へ?何?」と私。「鞄に何か入ってなかった?」 「チーカマが入ってたけど、なんで???」しばし、相手は爆笑。私は一人きょとんとし ていたのだった。「本当に覚えてないんですかぁ?」と、奴はまだ笑い続けている。 以降の出来事は仲間から聞いた話。 閉店まで飲んでいた我々は、どうやら終電を逃したらしい。かなり酔っ払っていた私は、 誰かに車で迎えにこさせろぉ〜と息巻いていたようだ。仲間の最年少のKが、仕方なく妹 に電話して車を呼びつけた。事件は、この車の待ち時間に起きた。 仲間もそれなりに酔っ払っていた。ふと気が付くと私の姿が見えなくなっていた。やばい! って事で、みんなで捜しまわったそうだ。私と同期のFが、遂に私を発見した。その時の 光景は、かなり恐ろしいものだったらしい。私はとあるコンビニに居た。そしてなんと私 は、コンビニの商品棚から金も払わずチーカマを取り出し、その場で商品棚に寄りかかる 形で座りこんで勝手に食べていたそうだ。Fの話しによると、コンビニの店員さんもとて も困リ果てどうしようかと非常に悩んでいたらしい。Fが現れ、勝手にチーカマを食って る酔っ払いの知り合いだと知ると、ほっと胸を撫で下ろし、「助かりましたよ。」と言わ れたそうだ。 Fは店員に、平謝りに謝り、代金を払ってコンビニを後にした。 その後、Kの妹と婚約者が車で現れ、私は家まで送り届けられた。車の中は、この話しで 盛り上がり、私は相変わらず酔っ払っていたそうだ。 以後、しばらく私はチーカマと呼ばれた。上等だ! 俺はチーカマが心から好きだったの だ。 後日、Kの結婚式に招待され、期せずして新郎の妹からプレゼントをいただいた。 私にとっては新郎の妹の顔を見た最初の日であったが、妹さんはとても親しみを込めて僕 に、リボンをかけたプレゼントを手渡した。封の開いていないチーカマだった。 このチーカマを口にして以降、私は出来るだけチーカマに近づかない生活を送っている。 この話には、もう一つ後日談がある。冒頭で、スーツの上着が見つからなかったと書いた が、泥酔した私はどうやら上着を着ずに、コートだけ羽織って店を後にしたらしい。 翌日、店に電話して上着を取りに行った。店員さんに、昨夜は凄かったっすねぇと言われ た。何が凄かったんだろう? そんなに凄かったの?? 今となっては知る由もない。
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